バスやタクシーの運転者が見せた一〇時、 一時、 一四時の眠気のピークは、図2 ・3とよく一致しており、実験環境でも確実にとらえることが可能な、生物リズムによって制御されていることをしめしている。聴覚ビジランスでは目を閉じた状態でも反応が可能であり、じっさい段階1でも前半であれば八〇%ていどの正反応が期待できる。ところが目を閉じた状態では、すでに事故が発生する危険域に入ってしまうという状況を想定した場合には、視覚ビジランス課題でしらべないと警告は手遅れになってしまう。

 

仮眠をとらないばあい(破線)は、休憩後二.三時間遅れて一〇時にピークがあらわれる。休憩効果が二.三時間つづいたと考えることもできるが、むしろ断眠によって強められた眠気は直線的に高まるのではなく、二時間周期の眠気のリズムを強調化し、そのピーク時刻に強くあらわれていると見ることができる。つまり、三二時間の連続作業を負荷した条件でも、眠気が強くなる時刻はふだんと変わりなく、その強さが条件により午前に強くなったり、午後に強くなったりするということである。このような危機的状況下での作業成績を、 一五分ごとにまとめてプロットしたものが図2 ・5である。上段は課題の正答率をしめしている。眠らない(破線¨休憩グループ〓一人)と、最後の八時間のくずれかたが、眠ったとき(実線一仮眠グループ〓一人)よりも大きい。くずれかたは、論理課題のほうが英数字検出課題よりもはげしい。睡眠が不足し、眠気が強まると、見落としやうっかリミスをおこしやすいことがわかる。